Sep 12, 2007

Study on Life System ~システマチック思考訓練~



物事をシステムとして考えるシステム的思考は,現代社会において必須のスキルである.そこで,本日は「Study on Life System」として,最もシステム化しずらい対象の一つであると思われる人生をシステムとして考察したい.

たとえば,「くだらないバラエティを見る」と「納期が明日の書類作成」とでは,明らかに優先順位は後者が上である.これは自明である.

実家暮らしの一般学生時代にはこのような自明な優先順位に律した生活を送ることすら難しく思えた私だが,ここ2,3年では,就職し社会の雰囲気を体験したことや,易しくはない海外生活を半年送ったこともあり,自明な優先順位については,それに沿って行動することが出来るようになった.

しかしながら,一つハードルを越えると,次のハードルが待っているのが,人生という名の障害物競走である(人生を競争と呼ぶことに違和感はあるが,資本主義社会における人生では,競争がその本質となっている場合が多い).

よく,ビジネス誌などを見ていると,各界の成功者と呼ばれる人たちが,若者に対するメッセージとして,将来ビジョンを明確にもって人生を設計することの重要性を説いている.これは至極当然なことで,ビジョンのない設計に価値はないことは事実である.

この「ビジョン」の観点をヒントに,「人生」という一つのシステムを考え,「幸福さ」を目標に設定する.このシステム制御の概念を単純化して表すと下図のように考えられる.



ここで,脳内における将来「ビジョン」の創出を困難にする要因が2つある.

1つは,目標値である「幸福さ」の評価基準が一定でないことから生じる困難である.「家族」・「仕事」・「友人」など複数の評価基準要素が存在しており,それぞれが複雑に結びついて決定されるのが幸福であるため,この評価基準要素のどれに最大の重みをつけるのかが難しい.

また,必ずしも結果は「ビジョン」に基づく行動からのみ生まれる訳ではなく,「不確定な影響」も考慮しなければならないことから生じる困難がある.人生システムの制御において,この外乱は時に多大な影響を及ぼす.それはときに幸運な偶然・好ましい出会いであり,ときに不幸な事件・好ましくない出会いである.

これらが,自明でない優先順位を生み出し,「ビジョン」の創出の困難の要因となる.

別の言い方をすれば,「幸福さ」の評価基準につけるべき重みを試行錯誤しながら調整する作業がすなわち,その人間の「人生観」を決定し,また,「不確定な影響」への対処法が「いま・現時点」において確立されていないため,将来に不安を抱くのである.


ここまでのシステマチックな人生考察より明確になった事項は以下のとおり.

・人生システムの設計には明確なビジョンが不可欠である.
・人生システムの最適化(ビジョン創出→実行)には,「人生観」の決定が大きく影響する.
・人生システムは「不確定な影響」という外乱もしくはノイズを含み,常に不安定系である.
・一般的成功者が述べる「ビジョンの重要性」は,外乱を軽視している.

さて,これらを総合すると,

「人生設計にビジョンを持つことは当然ながら重要であるが,そのためには,まず現時点での自分の「人生観」を定義する必要がある.しかし,ここで忘れてはならないことは,人生システムが内包する不安定性であり,「現時点で出来る最善の行動立案」としてビジョンがあるということで,それのみが結果の原因となるわけではないということ」がわかった.

*>0を正しい,良い.
*<0を誤り,悪いと考えると,

(ビジョン&アクション)+(外乱) > 0 なら良い結果が得られ,
(ビジョン&アクション)+(外乱) < 0 なら悪い結果となる.


さて,ここまで人生を単純化して考えることが果たして意義のあることかどうかに不安を覚えてきたので,以上の人生考察の挑戦において,明確になった二つの立場に触れて本考察を終わろうと思う.

それは,

「我々は外乱の影響の大きさを理解しながらもやはりビジョンを創出し行動するべきである.あくまで自分の人生は自分で設計していくべきだろう.」

という立場と,

「外乱の影響の大きさを考えると,ビジョンの創出という作業はどうもコストパフォーマンスが悪い.もっと素直に今を楽しむべきだ.人生設計など一種の傲慢だ.」

という立場である.

どちらの立場を選ぶかは,各自の課題とする.











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